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台風被害に学ぶ大隅半島の地質条件

1.今回の風台風による倒木
私が子供の頃は、鹿児島は「台風の玄関」と言われていて、台風の直撃をよく食らっていました。近年は、台風に縁遠くなったと思っていました。

ところが、9月に久し振りに台風が大隅半島を通過しました。9月20日の0時過ぎから風雨が強くなり、一時静寂となって台風の目が来ていることまで分かりました。総雨量は230mm、最大風速は38m/s程度でした。

各所に台風の被害が出て、私が住んでいる町では、21日の午後まで停電となったため、不便を感じました。

夜が明けてから、あちらこちらに倒木が目につきました。倒木には桜、イチョウ、杉などが多いようでした。防風林にも使われているイヌマキは倒れていません。


駐車場の倒木
吾平山陵に行ってみたら、駐車場の真ん中にあった杉が倒れていました。


斜面崩壊
吾平山陵の御陵がある洞窟(岩屋)の手前で、姶良川対岸の斜面が崩れていました。岩盤が露出しているので、表土が樹木とともに滑り落ちたと考えられます。
その他にも、大木が倒れていたようですが、私が行った時には片付けられていました。

吾平山陵の付近の岩盤は、本ブログで取り上げたことがある阿多カルデラの噴火に起因する溶結凝灰岩です。溶結凝灰岩は、高温の火山灰が溶けて硬くなった岩石です。その上の表土が比較的薄く、木の根が地下深部に伸びにくいので、強風で倒れやすいのでありましょう。もちろん、風の当たり具合、木の形状や劣化の影響もありますが…。


2.昭和13年の雨台風による大水害
台風といえば、父から聴いた昭和13年10月14、15日の台風による水害を思い出します。吾平町の家々が濁流に流されて、この地域で100名弱の死者・行方不明者が出たそうです。父は鵜戸神社の近に住んでいましたが、家の地盤が街より高かったので、水が床下まで来ましたが床上には達しなかったとのことです。
鵜戸神社の境内には、むしろの上に死体がたくさん並べられていて、恐ろしかったそうです。

父の話では、吾平山陵近くの川の上流に倒木が溜まって堰を作り、それが決壊して多量の濁流が姶良川の流域を襲ったということでした。

現鹿屋市での台風の総雨量は389mmでした。本流の肝属川の大水害により、死者行方不明者435人、全半壊家屋1,018戸、流失家屋514戸、浸水家屋5,067戸の大被害となりました。特に、高山地区の被害が甚大でした。


串良の水害


床上まで水に浸かった家(鹿屋市串良町永和地区)。大隅河川国道事務所の写真です。



吾平町中心部の惨状

吾平町中心部・十文字付近の惨状(吾平山陵の資料館に掲示されている写真)



被害の調査報告によりますと、大隅半島の南部(吾平山陵の南方)に多い花崗岩の山の中腹各所で表土が崩壊して、渓谷を堰き止め、これが決壊して、下流域に水害をもたらしました。崩壊斜面は、スギ、ヒノキの造林地が多かったそうです。この報告では、今後は「土砂の堰き止めと水源貯留を兼ねる混交林(2種以上の木からなる森林)を主とする造林」を提案しています。
花崗岩の岩盤も固く、表土の保水量が少なく、樹木の根も深く伸長しにくいので、雨量が多くなると滑り落ちやすくなると考えられます。

大隅半島南部で豪雨に伴い発生した斜面崩壊・土石流の分布を、空中写真判読と現地調査した報告では、斜面崩壊・土石流の発生は,総雨量400mm以上の雨域に集中しています。そして、全崩壊地個数(14,354ヶ所)の約72% が花崗岩の山地で発生しています。


その後、大隅半島の河川の堤防が整備され、各種の防災対策がなされてきたので、このような大水害はありません。しかし、総雨量400mm以上の大雨がありますと、今でも山地の各所で斜面崩壊が発生する可能性はあり、その影響が河川の下流域まで広範囲に及びますので、今後も監視と迅速な警報伝達の体制が必要です。

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テーマ: 鹿児島 | ジャンル: 地域情報

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