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劣化する日本のオッサン社会

オッサンの不祥事

最近、いい大人で、しかもリーダーの下劣な悪事が目立つ。助成金の不正流用の日本ボクシング連盟会長、日大アメフト部の暴行監督、セクハラ狛江市長、いじめ調査結果隠蔽の教育委員会 …。組織におけるオッサン達が劣化する原因と対策を、山口周著「劣化するオッサン社会の処方箋」という本が解説してくれた。

山口周の本4_800KB

1 日本の組織の劣化は必然
「組織のトップは世代交代を経るごとに必然的に劣化するものである。その原因は、権力欲の強い二流のオッサン上司が、自分の保身のために一流の部下をつぶしたり、追放するからだ。組織を変えてよみがえらせるのは一流しかできないので、組織は次第に劣化する。」

私の会社勤めの時、世界に通用する二人の先輩技術者がいたが、権力欲の強い二流上司に二人ともつぶされた。もったいないことだった。あの二人が残っていれば、不名誉なニュースが多い今の会社の姿は無かったのにと思わずにおられない。一流を見抜いて、育てられる人がトップがいたら、こういうことは無かったであろう。人材の目利きがいなくなったのかもしれない。

2 劣化したオッサンと組織への対策

「劣化したオッサンへの武器は、顧客や株主からのオピニオン(意見)とエグジット(クレーム、取引中止など)で圧力となる。」
この面で日本は遅れている。民間の大手企業ではヘンなオッサン上司に楯突く勇気のある部下が多くなり、さらに内部告発の仕組みができて、告発件数が多くなってきたと思うが、劣化したオッサンの排除は容易ではない。

「もう一つの望みは、日本は明治維新や戦争で、80年周期で新しい組織・構造の作り直し(革命)があって、30代40代の一流の若手がリーダーとして活躍できた。」
次の80年目の革命は6年後の2025年に起きるか? 武力によらない革命に期待しましょう。そして若手リーダーの支援にはオッサン達が太っ腹で!

著者の山口周は組織開発・人材育成の専門家で、著作は現実を踏まえて課題の核心を突いており、啓発されることが多い。
その中の一つ、「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?」で、経営(組織運営)には、アート(組織のビジョンや倫理観・美意識の構築)、サイエンス(体系的な分析)、クラフト(実行)がセットで必要であると言う。しかし、要のアートの重要性を認識できて、それを担当できる一流のリーダー(組織のトップ)が少ないのが問題である。

3 自分を守る対策
「劣化したオッサンと組織に、長い年月にわたってイヤイヤながら従属していたら、自分が”劣化したオッサン”になってしまう。そのような状態を避けるためには、仕事を通して会社以外で通用するスキルと会社外に開かれたネットワークを持ち、”モビリティ”を高めることが重要となる。
そのために、ストレスのかかった状態で、できる限り良質で大変な仕事を、なるべく優秀で見識のある上司とやることである。」

オッサンが輝かない社会は暗くなる。オッサンが学び直して、新しい世界で活躍できる日本になることを目指しましょう。

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テーマ: 考えさせられる本 | ジャンル: 本・雑誌

知らなかった「タネ」のことと今後が不安な日本の農産物

園芸の講習会に参加して驚いたことがあります。質問時間に、ある聴講者が「カボチャから取った種を植えたがカボチャが生らなかった理由を教えてください」と講師に質問したら、講師が「F1だからでしょうね」と答えました。
「F1」? 私には何のことだか分りませんでした。これが切っ掛けになって日本のタネ(種)の問題を知りました。

田と稲穂

1.F1種について
「たまな自然食品店」の「お役立ち情報」に「F1種」の特徴と問題が分かりやすくまとめられているので、以下に引用します。

「F1種とは」
異なる性質のタネを人工的に掛け合わせて作った雑種1代目のことをいい、ハイブリッド種とも呼ばれます(遺伝子組換え種とは異なります)。異なる親を交配させることで、次に生まれた子(第一世代の種)が親とは異なる新たな形質を持つ種子です。雑種の1代目には「雑種強勢」という性質が働くため、野菜の生育がよくなります。さらに、メンデルの法則によって、野菜の大きさや形、収穫時期がそろうようになる(=規格がそろう)ため、非常に効率が良くなることから、現代最も多く使用されている種です。 
【F1種の特徴】
1. 耐病性の品種など、常に改良されているので、特定の病気を避けやすい。
2. 品種改良されているので、一般に味にクセがなく食べやすい(風味が均一)。
3. 発芽や生育の揃いが良いので市場で売れやすく、大量生産・大量輸送・周年供給に適している。
4. 農薬・化学肥料を使うことが前提あるいは推奨されているものがほとんどなので、「自然栽培」には不向き。
5. F1の種から採取した種(F2種)になると、F1と異なる性質が現れるため、自家採種で同じ性質をもった種が取れず、毎年種子を購入する必要がある。
【「F1種」の問題点】
1. F1種の普及により種の多様性が失われつつある。
2. F1種に限らず世界のタネ市場が海外の大企業(モンサント、ダウ・デュポン、シンジェンタ)の寡占状態になっており、種子支配に繋がりかねない。
3. ほとんどのF1種は農薬・化学肥料を使うことが前提で作られている。
4. 一番の問題は、そもそもほとんどの人が固定種やF1種の事を知らないという点である。

2.日本の状況
わが国には、1952年、戦後の食糧の安定供給を図るために制定された種子法(正式名称は「主要農作物種子法」)があります。 米・麦・大豆の3種類を対象に、奨励品種の選定や原種の生産に都道府県が責任を持つことが定められた法律です。

農家が自ら生産した作物から種子を採取すること(自家採種)も可能です。しかし、同一品種の自家採種を何代も続けると、品質は少しずつ劣化していきます。良質な種子を育成するためには、農作物の栽培とは別に、種子のための育成をしなければなりません。それには膨大な手間と金が必要です。育成にかかる時間は長く、1つの品種を開発するのに約10年、増殖には約4年かかるといわれています。
そこで、農業試験場などの研究機関で、地域での普及を目指す優良な品種の「奨励品種」を育て、それを農業振興公社や種子センターといった公的機関が栽培し、採種農家が増産します。こうして栽培された種子が、各農家に安価に供給される──この一連の流れが、これまでのコメ、麦、大豆の種子のあり方でした。

ところが、現状の種子法は「民間の品種開発意欲を阻害している」という理由で、2018年4月に種子法は廃止となりました。政府決定から、わずか半年程度でした。
農林水産省が重要法案を提出する場合は、事前に農政審議会に諮り、パブリックコメントを募集するのが通例ですが、今回はそれらが無かったのです。不思議なことです。

恐らく、多くの国会議員は、この法案の内容や今後の日本の農作物、食料に及ぼす影響への大きさまで思いが至らなかったものと思います。

しかし、日本の農政に危機感を持った市民や生産者が声を上げ、自治体が国に意見書を出し、また種子法に代わる種子条令を制定する都道府県が以下の図のように増えてきました。


種子条令制定状況

3.最悪の想定シナリオ
政府の方針通りに「F1種」が日本の農産物を席巻するようになると、以下の最悪の状況になりうると予想されます。
1.海外の大手種会社から、農家は毎年、高価な「F1種」を購入し続けることになり、農家の収入が減る。日本の農産物が海外企業に牛耳られる。
2.「F1種」は多量の農薬と化学肥料を使うので、世界的なオーガニック志向に逆行する。農薬による環境汚染と人の健康への悪影響が拡大する。
3.種の種類が少なくなり、地域によっては限定されるので、地方色豊かな農作物が消え、さらに年によっては天候や病気の影響により特定の種の作物の収穫がゼロになり、飢饉が発生することがあり得る。
4.法律が変わり、遺伝子組み換え作物が海外から多量に流入する。

最近出版された山田正彦著「売り渡される食の安全」(角川新書)には、著者が元農林大臣だけあって、「F1種」に関わる広範な情報が分かりやすくまとめられており、参考にしました。