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文学や事物の核心を教えてくれた「松原正」

私の好きな本や著者についても、このブログに書いてみます。

6月8日に、松原正早大名誉教授が86歳で永眠されたと知り、読者としての長い付き合いを思い、感慨に浸りました。私は若い頃から、松原氏の著書を愛読し、松原氏の文章が載る「月曜評論」を購読していたものです。当時、ラジオでも松原氏による時事評論番組があり、それを毎回、予約録音して聴いていました。


松原正の著作

松原正氏の著作の一部



松原氏の専門は英米文学で、若い頃は芝居も書いていましたが、本領を遺憾なく発揮して、広く知られたのは広範な分野の評論です。彼が師事したのは、劇作家の福田恆存です。松原氏は、人間の本性を無視したきれいごと、板挟みの苦しみを軽視して白黒付けたがる単純な思考、道義不在の言動、思考不徹底な知的怠惰を嫌いました。

松原氏は保守系の論客ですが、同じ保守系の学者や評論家の言論の論理矛盾、道義不在、知的怠惰を論破し、斬りまくったため、次第に言論界での活躍の場が減ってきたようです。私のような松原氏の心酔者には寂しいことでした。

ところが、数年前に、圭書房から「松原正全集」が刊行され始め、松原氏の知的誠実に徹した思考、手加減のない直球のような文章に、あらためて接する機会ができ、喜んでいました。

松原氏の文章は正字正假名遣いで、微温的な文章に慣れた現代人には理解し難いかもしれませんが、明晰な寸鉄人を刺すような名文です。以下の3つの文章からでも、お分かりいただけるはずです。

“未來永劫人間は決して戰爭を止めはしない。なぜなら、戰爭がやれなくなれば、その時人間は人間でなくなる筈だからである。では、人間をして人間たらしめてゐるものとは何か。「正義とは何か」と常に問はざるをえぬといふ事、そして、おのれが正義と信ずるものの爲に損得を忘れて不正義と戰ひたがるといふ事である。”『戦争は無くならない』

“酒を飲みながら歓談する際なんぞに、男たちはさういふ女房騙しの秘訣を公開して樂しむ。けれども、女房を騙してなんらの良心の呵責をも感じない男を、私は信用する氣にはとてもなれない。樋口一葉の『にごりえ』について私は、日本では「甲斐性のある男が妾を囲うのは道徳上の罪ではない」と書いたけれども、それでよいと私は考えてゐるのではない。妻であれ友人であれ、他人を騙すのはよいことではない。他人を騙して得意になつてゐる者も、他人に騙されれば地團駄踏んでくやしがるのである。
私の言ひ分は矛盾してゐると讀者は言ふだろうか。けれども、人間は矛盾のかたまりであり、矛盾を矛盾として承認することこそ人間としてのまともな生き方なのだ。洋の東西を問わず、人間通の賢者はそれをよく知つていた。イプセンだつて、『野鴨』では正義漢を激しく批判したが、『民衆の敵』では孤高の正義漢を熱心に稱えたのである。わが夏目漱石だつて同じであり、單純で痛快な『坊つちゃん』のような正義漢ばかりを漱石は描いたのではない。そして晩年の漱石は『道草』の主人公健三にこう呟かせた、「世の中に片付くなんてものは殆んどありやしない」。“『人間通になる讀書術』

“日本は許しつ許されつの愚者の樂園である。それゆゑ私は「世代の斷絶」といふ事をそのままには信じない。今や日本人は道義心を失ひ、何を善とし何を惡とするかの基準はもはや定かでなく、そのため「あれをしてはいけない、これはしてはいけない」といふやうな事を、親や教師は子供に言へなくなつたといふ。親にとつて自明の常識も今の子供にはまるで通用せず、ために親も教師も大いに困惑してゐるといふ。だが、實際は親も教師も口で言ふほどは困つてゐない、私にはさうとしか思へぬ。今、大人と子供の間に斷絶があるのなら、昔もそれはあつたのだし、昔それが無かつたのなら、今も無いのである。「和を以て貴しと爲す」のは日本人の度し難い本性で、敗戰くらゐの事でそれが變る筈は無い。それゆゑ何事も「ドライに割切る」といふ當節の子供もまた、許し合ひの快を知つてをり、親や教師から「あれはしてはいけない、これはしてはいけない」と言はれても、なぜそれをしてはいけないのかと執拗に食ひ下り、大人を理責めにするといふやうな不粹な事をやる筈が無い。この許し合ひの天國では、物事の善惡を突きつめて考へる必要など少しも無いからである。”『道義不在の時代』

松原氏は西洋文学から、自分をごまかさずにとことん考えぬいて、文章の根底にある本質に迫る姿勢を学んだそうです。私は松原氏から、学ぶことの核心を教えられましたが、身に付かず、いつまでたっても松原氏は遠く仰ぎ見る存在で、とても近づけません。しかし、松原氏の文章から、本物の洞察力と高貴な精神を知ると、その知る喜びにより元気づけられます。

論壇で松原氏が格別に異彩を放っていたが故に、今後、西洋学問を学んだ、松原氏のような見事な学者が我が国から出てくるだろうかと思うと、暗澹たる気持ちになります。しかし、松原氏の弟子(留守晴夫岡田俊之輔北村賢介などの諸氏)が恩師の考えを引き継いで活躍しておられることが、せめてもの救いです。


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テーマ: 読んだ本 | ジャンル: 本・雑誌

「腕振り運動」の効果:手根管症候群の症状が軽くなる

1.私の手根管症候群と今までの治療

色々の療法を試みたが治らなかった左手の手根管症候群が、完治には至りませんが、「腕振り運動」で大幅に快癒したので、報告します。

私の手は手根管症候群や腱鞘炎になりやすいタイプのようです。数年前に植木の剪定作業を始めたら、両手の指の動きがぎこちなくなり、特に右手の親指、人差し指、中指がしびれて痛くなり、痛みで夜間に目が覚めることがありました。その他、ばね指になり、手術を受けたこともあります。

整形外科で手根管症候群と診断されて、右手首にブロック注射(ケナコルトa)を打たれて、症状が軽くなりました。その後もこの注射を定期的に打ちましたが、回復がはかばかしくなく、親指の付け根の筋肉が痩せてきたので、2年後に右手の関節鏡下手根管開放手術を受けました。その後、痛みがとれて、徐々に機能が回復し、指の動きも良くなりました。

軽い症状の左手の治療には、経皮鎮痛消炎剤(塗り薬)と神経機能修復のビタミンB剤をもらいました。

しかし、その後、左手にも手根管症候群の症状が出てきて、中指がしびれて感覚がなくなりました。中指ほど強いしびれではありませんが、人差し指と親指にもしびれが出ました。手の開閉(グーパー)がスムーズにできず、痛みが出ることもありました。自分で治そうと、ネットや本で見つけた方法を(手の運動、装具装着、整骨治療、ビタミン剤服用など)を試しましたが、どれも効果がありませんでした。

最近知って、”お金をかけない「視力回復方法」で”取り上げた、万病に効くという「腕振り運動」を、手の腱鞘炎治療法として試してみることにしまた。

2.腕振り運動について

日本での「腕振り運動」の提唱者・関英男氏の著書「宇宙学序章グラビトニックス」には、この「腕振り運動」で治った病気として下記のものが取り上げられているそうです。
・肺癌(午前2000回、午後2000回、夜2000回を5ヶ月)
・関節炎
・食道癌
・頚部淋巴線癌(1日1000回)
・半身不随(5、6ヶ月)
・肝硬変
・白内障(朝800回、夜1000回で4週間)
・トラコーマ、色盲、まぶたに生じるこぶ
・心臓病、高血圧
・神経症、精神分裂症
・腎臓病

以下のようにして、腕振り運動を行います。
① 両足を肩幅に開いて立ち、余分な力を抜く。
② 目は軽く開き、前方を見る。
③ 指を軽く伸ばし掌を内側(体側)に向けて両腕を振る。
☆ まず両手を並行に腕の高さまで上げ、一気に後ろに振り下ろす。その反動を使って胸の高さに戻す。

次のYoutubeの映像の方が分かりやすいでしょうから、拝借します。



腕振り運動の提唱者の関英男氏は、健康維持のためには1日500回。病気治しのためには2000回と言われています。

3.私の腕振り運動と手根管症候群への効果

私は、朝夕二回、15分間(約700回)の腕振り運動をしています。左手の手根管症候群への効果は1週間後から出てきました。以下は、腕振り運動を始めてから1ヶ月後までの状況です。
1. 7日後に、完全にしびれていた左手中指のしびれが弱まった。
2. その後、左手の親指、中指、人差し指のしびれがさらに弱まった。中指と人差し指の先端部のしびれは、他の部位よりやや強い。痛みは消えて、手のこわばりが少なくなり、開閉がスムーズになった。この程度の症状であれば、日常生活での支障はない。

今後も、腕振り運動を続けます。どのような効果が出るかを、楽しみにしています。

源泉掛け流しの「江之島温泉」

5月21日開催の「ふるさと再発見塾」で、鹿屋市国際交流員のディートマソ・スティーブン(Stephen DiTomasso)氏による「アリゾナと日本と私」という講演を聴きました。講師は24歳のイタリア系米国人で、日本語が上手でした。日本人が気付きにくい、日本の良い所や日本人の不可解な行動などを、楽しく聴かせていただきました。

彼は、垂水市にある「江之島温泉」がお気に入りで、良く入浴に行っているようでした。源泉掛け流し温泉であると聴き、私も行ってきました。

江之島温泉は、大隅半島の付け根に近い鹿児島湾に面した海潟(かいがた)温泉地区にあります。目の前の海には、近くに江之島が見え、その後ろに桜島が広がる、景色の素晴らしい所です。



江之島温泉の場所




江之島と桜島の眺め(500KB)
目の前の江之島と背後にある桜島の眺め



国道220号線(佐多街道)から、入り口に江の島温泉の看板がある、車1台が通れる程度の狭い道を海岸方向に進み、堤防沿いに右折すると、すぐに駐車場があります。


江之島温泉駐車場
駐車場(隣の白い建物は「江洋館」)



駐車場の横から階段を降りて進むと、日帰り入浴のみの共同浴場「江之島温泉」があります。


江之島温泉入口
江の島温泉の入り口



入浴料は、隣にある管理人の家の開いた入り口から入って、小さな賽銭箱のような木箱に入れます。私が行った時は、管理人は外出中で不在でした。「回数券やお釣りが必要な場合は無銭で入浴して、次回報告願います」と書いてありました。この地域は純朴で正直な人ばかりなのでしょうね。大人の入浴料は250円でした。


入浴料支払場所
入浴料の支払所



脱衣所でプラカゴに所持品を入れて、棚に置きます。ロッカーや洗面台はありません。


脱衣所と効能書き
男性用の脱衣所と効能書き



湯船は2つに区切られていて、湯口に近い槽が高温で、遠い槽がやや温度が低くて入りやすいです。湯船からは絶えず湯が溢れ出ています。単純硫黄泉ですが硫黄の匂いは微かであり、湯は無色で、白い小さい湯の華が混ざっています。癖のない、入りやすい温泉です。


浴槽と湯口
男性用の浴槽と湯口



湯が流れている床に寝るために、枕にする木の角材が3ケ置いてあります。私が行った時には、一人の地元の老人が寝ていました。許可を得て、遠くから上の写真を撮りました。

シャワー・カランは3箇所しかありません。源泉が出ます。配管を見てバルブを操作し、シャワーにしたり、地下水だけにしたりします。水風呂は地下水の掛け流しです。


カランと水風呂
シャワー・カランと水風呂



その老人に尋ねたら、入浴者が多いのは平日は16時以後、休日は朝です。また休業日はないそうです。ここは、その老人の生まれる前からあった温泉だそうで、隣の海潟温泉「江洋館」の温泉にも安い入浴料(300円)で入れると話してくれました。

江之島温泉は古くからある名湯で、規模が小さく鄙びていて、心身ともに休まりました。また、来たくなりました。


テーマ: 鹿児島 | ジャンル: 地域情報

お金をかけない「視力回復方法」

欧米人に比べて、日本人には近視が多いとよく言われます。これは、欧米人には軽い遠視が多いことも関係しているそうです。

日本では、近視に悩む人が多いにもかかわらず、お金をかけずに予防する方法がないのか、あっても広まらないのか、不思議です。尿療法と同じく、既存の商売に支障がでるためかと勘ぐりたくなります。

私の場合、中学に入ってから近視になり、二十歳くらいまで近視の度合いが徐々に進みました。机に着いて本やノートなどを、近くで見る時間が長くなったことが、近視になった主な原因であると考えています。30cmより近くでモノを見ることを30分以上続けることは、近視の危険因子につながるそうですから、注意して下さい。

当時、私は親や教師から、遠くを見るようにとか、姿勢をよくして本やノートに顔を近づけないようにと、繰り返し注意されましたが、それらを習慣化することはできませんでした。結局、強い近視になりました。ただし、昨年、白内障を手術した際に、両眼に人工レンズを入れて弱い近視にしてもらったので、今はメガネ無しでパソコン操作や読書ができるようになりましたが。

自分では効果を確認していませんが、最近知った視力回復方法を、以下にご紹介します。お金はかかりませんので、近視を治したい方は、試してみられたらいかがでしょうか。

1.速読
作家の若桜木 虔(わかさき けん)氏は、「速読と視力復活」に関する本を数冊出しています。

視力回復の速読術(146KB)
若桜木 虔氏の本の一部

速読は眼の「こり」をほぐす筋肉の運動にもなって、視力の回復に有効であり、一挙両得の方法のようです。手や足腰を鍛えるのと同じく、速読により適度のスピードで視線を走らせて、眼筋や毛様体筋に一定以上の負荷を与えて鍛えるのです。この考えを援用すると、テレビやパソコンを見ている合間にでも、部屋の壁の四隅を、顔を動かさずに八の字を書くように速く視線で追うことも、視力回復に繋がることでしょう。

2.天井を見つめる
テレビで医者が話していた方法です(番組は失念)。スマホを扱う人は猫背と、近視になりやすいので、その予防には、時折、本人の真上の天井の一点を見つめると良いそうです。首が後にそって猫背を治し、少しは遠くを見る眼の筋肉を使うことになるからです。

3.腕振り運動
腕振り運動は、船井幸雄氏によって「両手ふり運動」の名前で広く知られるようになりました。
以下のような簡単な腕振り運動は、万病に効くとして、船井氏が関英男氏に奨められたものです。

① 両足を肩幅に開いて立ち、余分な力を抜く。
② 目は軽く開き、前方を見る。
③ 指を軽く伸ばし掌を内側(体側)に向けて両腕を振る。
☆ まず両手を並行に腕の高さまで上げ、一気に後ろに振り下ろす。その反動を使って胸の高さに戻す。


腕振り運動図
腕振り運動



関氏は、健康維持のためには1日500回。病気治しのためには2000回と言われています。船井氏は毎朝1000回くらい行なって、0.05だった視力が約3年で0.9まで回復し、メガネが不要になったそうです。

4.日光を浴びる
海外のブログから知った情報です。
オーストラリア国立大学研究チームの論文によると、近視の原因は、勉強やパソコンの使用や遺伝的なものでなく、屋外で日光を浴びる時間が短いため、としています。明るい光の刺激によるドーパミンの放出が近視を予防していると考察しています。近視の「予防」には、1日に2~3時間屋外で過ごせば、ほぼ安全だろう、とのことです。ただし、近視の「回復」法になるとは書いてありません。


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