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「7日間ブックカバーチャレンジ」のマネごと

「7日間ブックカバーチャレンジ」という言葉を最近知りました。読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、何人かの知人が好きな本を日に一冊、7日間facebookにアップして公開しています。
私もその真似事のようなことをして、自分の考えや行動に影響した作家や本を見直してみることにしました。自分のためです。

1 森田療法の本

慈恵医大の精神科の教授であった森田正馬が、自分のノイローゼ体験を元に確立した神経質、強迫観念などを治す療法です。今では、海外でも高く評価されています。
私も十代後半に強迫観念に悩みました。その悩みは他人に説明しにくく、一人で悶々としていました。大学に入って水谷啓二氏が一般向けに書いたの森田療法の新書版を書店で立ち読みし、稲妻に打たれたように感激し、その後に関連の書籍を読み漁り、大半の悩みから開放されました。この療法から、自分の本心に気づかず、身勝手な行動をしていることを教えてもらいました。まだ身勝手な行動の残滓はあると思いますが。
森田療法の本合体

2 松原正の本
松原正氏は早稲田大学の英文学の教授でしたが、広範な文学や時事問題、防衛問題などに健筆をふるい、同じ保守系の学者や評論家の思考の不徹底と矛盾を指摘して、めった切りしました。
また、古今東西の名作と言われる小説の名作たる所以を分かりやすく解説し、最近の日本人や日本文学のいい加減さを教えてもらいました。
松原正の著作

3 八木重吉詩集
私は中学・高校時代に詩集をよく読みました。最も感動したのが、夭折した八木重吉の詩集です。その哀れな人生と詩に込められた素直な気持ちが共鳴して、当時多感であった私の胸に響いたのでしょう。
                                   八木重吉詩集

4 権利のための闘争
ドイツの法学者のルードルフ・フォン・イェーリングの著作で、1872年に出版されました。
「自分の権利があからさまに軽視され蹂躙されるならばその権利の目的物が侵されるにとどまらず自己の人格までもが脅かされる」というイェーリングの言葉は、現代に生きる私たちの心をも強く揺さぶる力を持っています。
イェーリングは「人格そのものに挑戦する無礼な不法、権利を無視し人格を侮蔑するようなしかたでの権利侵害に対して抵抗することは、義務である」と書いています。
ヨーロッパの法律の根底に、この様な考えがあることに敬服し、私もこの考えの影響を受けて、受けた蹂躙に対して断固とした行動をとりました。
                              権利のための闘争

5 一倉定の経営心得
会社勤めの時に、経営に関する本をよく読みました。特にドラッカーと一倉定(いちくらさだむ)の影響を受けました。
一倉は、事業経営は社長で決まるという信念から、社長だけを対象に指導した経営コンサルタントでした。徹底した現場主義とお客様第一主義を標榜し、空理空論を嫌いました。この本は一倉社長学の要諦をまとめたものです。
営業支援を担当していた頃、次の言葉に感銘を受けました。「クレーム自体の責任は追求しないが、クレームを報告しない責任と指示したクレーム対策を直ちに実行しない責任は追求せよ。」
一倉定の本合体

6 サピエンス全史
イスラエルの歴史学者であるユヴァル・ノア・ハラリの世界的ベストセラーです。私のブログでも取り上げました。
人類誕生以来の世界の歴史を俯瞰して、全く新しい視点からの解釈(仮説)を提示しています。
サピエンス全史_800KB

7 大場昇氏の本
鹿屋市出身のノンフィクション作家・大場昇氏が、私の祖父の評伝を書くために、我が家にインタビューにみえてから、お付き合いをさせていただきました。
大場氏には、大隅半島や鹿屋市の歴史、祖父の業績など、色々のことを教えていただきました。また、多くの著書は、苦難の道を歩んだ恵まれない人への慈愛に満ちたもので、感銘を受けました。
大場昇本4冊

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勉強の基礎となる「読解力」に気付かなかった学校教育

新井紀子著「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」は衝撃的な内容の報告書です。この女性数学者が全国的な大規模調査をして出した結論は、日本の中高生の多くは読解力がなく、教科書の文の意味が理解できないということです。

AI vs 教科書が読めない子どもたち_350KB

これからはAI(人工知能)の時代と言われ、人がしている今の情報を伝達するだけの仕事や定型的な仕事は機械で代替されます。しかし、AIには、言葉の意味を理解し状況を判断することが苦手という問題があります。このような時代に人間は読解力をつけて、AIができない仕事に就かなければなりません。この本は、日本の学校教育の問題点と今後の指針を提示しています。

この学者の凄い所は、多角的に読解力を評価する読解力テスト「RST;リーディング スキル テスト」を開発し、国内に読解力を診断する体制づくりを進めている、その実行力です。
読解力テスト(リーディングスキルテスト;RST)の受検料金は1,500円/人です(新井紀子氏が設立した「教育のための科学研究所」のホームページより)。

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読解力テストの一例;中学生の正答率は38%、高校生の正答率は65%。恥ずかしながら、私は③にマルし、読解力不足を反省しました。

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質問の意味も十分に理解できない子どもに、試験勉強を強いても理解力や能力は上達しにくく、子供に苦痛を強いることは明らかです。勉強の基本である、文の意味が分かり、イメージできるようにする指導方法を見つけてほしいものです。

7分野の読解力を学年別に評価した表です。中学校では学年が上がると正答率も上がるが、高校では横ばいになる傾向があります。そのため、中学時代に読解力を上げる必要があります。高校では遅いのです。

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「AIに負けない子どもを育てる 」(新井紀子著、東洋経済)は、生徒の多くが教科書の文の意味が理解できないと指摘した前著の続編です。読解力アップの実践法が提案されています。

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読解力アップの手軽な方法はなく、正確に「書く」「読む」ことが基本です。授業で聞いたことをノートに書くこと(意味が分かると書きやすい)、読んだ文章の要旨を書くこと、本をゆっくりでも理解しようと心がけて読むことは、正確に意味を理解する訓練になります。この本には、望ましい授業内容の具体例や年代別の対策も書かれています。
最近は教師が作った穴埋めプリントやドリルが教材として多用されていますが、これはお手軽で時間短縮になる一方で、読解力アップの妨げになっているそうです。

読解力が高いと偏差値の高い学校に入れます。全国の2万5千人を対象とした読解力調査でわかったことです。
読解力が高い学生ほど容易に東大に入れます。暗記に頼らずに、効率よく受験勉強が進むためでしょう。超有私立中高一貫校に入る12歳の生徒は、東大に入れる読解力が身についていることも分かりました。なお、東大に入らなくても、各分野で能力向上し、活躍することが期待されます。

読解力により選べる進路が決まり、読解力がない受験生は暗記に頼らざるを得なくなります。読解力をアップすることは、学歴だけでなく、仕事の幅を広げ、望ましい進路の多様性を拓くことにも繋がります。

最近、教育熱心な自治体や学校で「読解力アップ」の取り組みが始まったので、今後、実証的な裏付けのある有効な対策が出てくるものと思われます。
テーマ: 考えさせられる本 | ジャンル: 本・雑誌

田中英道先生から日本の歴史を学び直す!

唯物論的な経済史観、階級闘争史観とは異なる日本の国史を形成・議論する場所として、7年前に「日本国史学会」が創設されました。発起人の一人に西洋美術史家の田中英道先生がいます。

田中英道と日本の歴史の文庫

写真1 田中英道先生と本



今回、田中先生の本「日本の歴史 本当は何がすごいか」(扶桑社文庫)を読み、私が学校で学んだ日本の歴史解釈とは違うことを知り、元気を得る新知識を得ました。

例えば、古事記や日本書紀に書かれた神話を日本人の魂の記録として重視し、その後の日本の歴史についても、例えば以下のような新しい解釈や仮説を提示されています。

「もちろん日本の神話も、事実としての歴史そのものではありません。しかし事実そのものではなくても、日本民族の遠い記憶、おぼろな記憶からふくらんでくるイメージ、あるいはそのイメージに対する祈りや願いのようなものが写し取られているのです。日本の神話は、日本民族の精神性の表れであり、精神的な形で日本民族の歴史につながっているのです。」(p.24)

「大国主命は鰐に皮を剥がされてひどい目に遭った白兎を助けます。そして、大国主命をねたむ八十神を滅ぼします。最後は、狩りに出かけた大国主命が猪に似た大石に焼き殺されてしまいます。しかし、生き返るのです。このときにも、日本にはいないはずの鰐の話が出てきます。
このように、日本の神話には海につながる話が多いのです。日本列島に、海の向こうから人々が渡ってきて日本をつくっていった、そういう歴史的事実がこれらの話に反映されているのでしょう。海の向こうからやってきた人々、つまり神々が日本の風土に同化していく話が、日本の神話のかなりの部分を占めています。」(p.29)

「縄文土器と共に土偶も出てきます。これは土でつくった人形です。
土偶は、女性をかたどったものが多く見つかっています。出産ということが神秘的に感じられたからなのでしょう。また、土偶には異形のものも多く見つかっています。それはどうしてなのか。私はこんなふうに考えています。このころは近親結婚が多かったのです。それは神話で近親結婚が普通に述べられていることからもうかがえます。それに病気も多かったのでしょう。そのことが土偶の異常な体型に反映されていると思います。異形の人々をおそれる気持ちと、敬う気持ちが、こうした異形の土偶をつくらせたのでしょう。」(p.43)

縄文の土偶の複合写真

写真2 異形の縄文の土偶



また、従来の史学会が経済や生産力という視点で歴史を捉え、農耕を行っていなかった縄文時代を停滞の時代と見なしたのに対して、先生は縄文時代の日本は世界最初の文明国家であったと高く評価されています。
私は縄文時代下宅部遺跡から出土した漆製品や編み物を実際に見て、その技術力の高さに驚いたことがあるので、納得できます。

奈良時代に編まれた「日本書紀には「牛、馬、犬、さる、鶏の肉を食べてはならない」と書かれています。これが食生活についてのの国家の方針だったのです。」(p.95)
そのため、ヨーロッパや中国のように、牧草地を広げるために山や森の木を切り倒すことがなく、日本は今も緑あふれる国土となりました。

この本には書かれてはいませんが、You tubeで視聴できる講演で田中先生は、日本に渡来したユダヤ人が日本文化に同化した根拠の一つとして、DNA鑑定の他に、先生が美術史家らしく埴輪の形状(ユダヤ人であることを示すみずら[美顔]:もみあげを垂らしたり輪にする髪型)との類似性を上げています。

みずらとユダヤ人_複合写真

写真3 ユダヤ人と埴輪のユダヤ人を示すみずら[美顔]



田中先生は、日本人の先祖が2700年前にアッシリア人に追放されたイスラエルの失われた十支族の一つとする「日ユ同祖論」には同意せず、日本に渡来したユダヤ人が仏教と神道を日本化することに大きく貢献したと主張されています。

以上の田中先生の意見や仮説は、従来の日本史の本では学ぶことができず、私には新鮮で説得力がありました。それは、見ることができる事実だけを歴史として、その背後にある精神や文化について思いを巡らさない学者が多い中で、田中先生は精神や文化を重視して、敢えて独自の見解や仮説を提案されているためであると思います。

特に日本の人文系学会では、主流の意見に迎合しないと村八分にされることがあるようですが、真理を求める学会ではソンタクが不要になることを願っています。

今後の「日本国史学会」の隆盛と田中先生の情報発信を期待しています。





テーマ: 歴史・時代小説 | ジャンル: 本・雑誌

劣化する日本のオッサン社会

オッサンの不祥事

最近、いい大人で、しかもリーダーの下劣な悪事が目立つ。助成金の不正流用の日本ボクシング連盟会長、日大アメフト部の暴行監督、セクハラ狛江市長、いじめ調査結果隠蔽の教育委員会 …。組織におけるオッサン達が劣化する原因と対策を、山口周著「劣化するオッサン社会の処方箋」という本が解説してくれた。

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1 日本の組織の劣化は必然
「組織のトップは世代交代を経るごとに必然的に劣化するものである。その原因は、権力欲の強い二流のオッサン上司が、自分の保身のために一流の部下をつぶしたり、追放するからだ。組織を変えてよみがえらせるのは一流しかできないので、組織は次第に劣化する。」

私の会社勤めの時、世界に通用する二人の先輩技術者がいたが、権力欲の強い二流上司に二人ともつぶされた。もったいないことだった。あの二人が残っていれば、不名誉なニュースが多い今の会社の姿は無かったのにと思わずにおられない。一流を見抜いて、育てられる人がトップがいたら、こういうことは無かったであろう。人材の目利きがいなくなったのかもしれない。

2 劣化したオッサンと組織への対策

「劣化したオッサンへの武器は、顧客や株主からのオピニオン(意見)とエグジット(クレーム、取引中止など)で圧力となる。」
この面で日本は遅れている。民間の大手企業ではヘンなオッサン上司に楯突く勇気のある部下が多くなり、さらに内部告発の仕組みができて、告発件数が多くなってきたと思うが、劣化したオッサンの排除は容易ではない。

「もう一つの望みは、日本は明治維新や戦争で、80年周期で新しい組織・構造の作り直し(革命)があって、30代40代の一流の若手がリーダーとして活躍できた。」
次の80年目の革命は6年後の2025年に起きるか? 武力によらない革命に期待しましょう。そして若手リーダーの支援にはオッサン達が太っ腹で!

著者の山口周は組織開発・人材育成の専門家で、著作は現実を踏まえて課題の核心を突いており、啓発されることが多い。
その中の一つ、「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?」で、経営(組織運営)には、アート(組織のビジョンや倫理観・美意識の構築)、サイエンス(体系的な分析)、クラフト(実行)がセットで必要であると言う。しかし、要のアートの重要性を認識できて、それを担当できる一流のリーダー(組織のトップ)が少ないのが問題である。

3 自分を守る対策
「劣化したオッサンと組織に、長い年月にわたってイヤイヤながら従属していたら、自分が”劣化したオッサン”になってしまう。そのような状態を避けるためには、仕事を通して会社以外で通用するスキルと会社外に開かれたネットワークを持ち、”モビリティ”を高めることが重要となる。
そのために、ストレスのかかった状態で、できる限り良質で大変な仕事を、なるべく優秀で見識のある上司とやることである。」

オッサンが輝かない社会は暗くなる。オッサンが学び直して、新しい世界で活躍できる日本になることを目指しましょう。

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「サピエンス全史」の衝撃

サピエンス全史_800KB

世界的なベストセラーになったユヴァル・ノア・ハラリ著「サピエンス全史(上下)」(河出書房新社)を読みました。特に前半(上巻)が読みごたえがありました。
人類誕生以来の世界の歴史を俯瞰して、目からウロコが落ちる新しい視点の解釈を提示し、それが説得力を持っていました。私が感じ入った新視点を以下に3つ紹介します。いづれも上巻にあります。

「人類には種類がいくつかあったが、ホモ・サピエンスが生き残って文明を築いたのは”虚構”をつくることができたためである。虚構とは、伝説、神話、神々、宗教、組織などの架空の事物について語る能力であり、それににより集団を作ってまとめ、協力体制ができた。虚構こそが見知らぬ人同士が協力することを可能にした。」
画期的な新説で、感心しました。事実に比べて、神話は軽く評価されますが、日本の建国神話は国を作り国民をまとめる効果があったのだと思うと、胸にストンと落ちました。

「農業革命は、史上最大の詐欺だった。確かに食料を増産させて、人口の増加に寄与したが、貧富の差を拡大して搾取体制ができた。また、健康に悪い過酷な生活を人類に強いた。」
こう言われたら、今の農民も苦労が多い割に、収入が少なそうだと納得させられます。日本では、稲作が広がった弥生時代から戦いが増えたことや、糖尿病を増やす原因にもなった穀物を主食にした原因にも関連する説と思いました。

「貨幣は人類の信頼制度を作った。国、人種、性別、宗教、文化の間の溝を埋めた寛容性の極みである。貨幣のおかげで、見ず知らずで信頼しあっていない人どうしでも、効果的に協力できる。」
貨幣が悪だという意見は一般受けするが、一面的な見方です。

続いて、同著者の次作「ホモ・デウス : テクノロジーとサピエンスの未来 」を読みたくなりました。
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左翼イデオロギーによる縄文時代への負の評価

近年、縄文時代の姿が明らかになりつつあり、縄文時代が従来の停滞した未開世界であったという説とは全く異なることが明らかになりつつあります。

その驚愕の一例を知ったのが、今から18年前の2012年12月に東京都東村山市にある埋蔵文化センターでのことです。
縄文時代の下宅部遺跡の出土物に、以下のような多くの漆塗り物品が出てきて、その展示物を見た時です。縄文人の漆加工技術の高さを知りました(写真は東村山市のものを借用した)。

       漆塗り1

            漆塗り2

       漆塗り3

下宅部遺跡には、漆工芸の担当地域があって、そこでは分業体制がとられていたと説明があったと記憶しています。

その時以来、私は縄文時代の高い技術や文明への見直しが遅すぎるのではないかと、疑念を抱いてきました。最近、ある書評を読んで、その疑念が氷解しました。

その書評が対象とした新刊は、関裕二『「縄文」の新常識を知れば日本の謎が解ける』(PHP新書)です。

書評(「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」通巻第5993号)には、「マルクス主義に立脚する左翼学者が、その学問的浅薄さ、ドクマによる視野狭窄などによってまともな議論をしなかったのだ。」と書いてありました。

また、その新刊の著者はこう書いています。「唯物史観が史学界を席巻してしまった。物質や経済、生産力という視点で歴史を捉え、人間社会は段階的に発展し、最後は共産主義に行き着くという考えで、農耕を行っていなかった縄文時代に対し、負の歴史的評価を下している。生産力は低く、無階級で、無私財であり、停滞の時代と見なした」(26p)」

これは、ブログNo.92で言及した泊 次郎 (著)「プレートテクトニクスの拒絶と受容―戦後日本の地球科学史」(東京大学出版会)に書かれている昔の地学団体研究会に牛耳られていた地質学会と同じです。
今では常識となった地球物理学の考え方であるプレートテクトニクスが、日本では10年以上遅れて受容された原因が、当時の地質学分野を牛耳っていた地学団体研究会すなわち“地団研”の共産主義イデオロギー「歴史法則主義」に支配されていたためであっ」ことと酷似しています。

以上のことから、今までの日本の学者は、事実を見て自分で考えることより、学会を覆う当時の主流の思想に合わせて、都合よく事実を解釈する傾向があったということを示していると言ってよいでしょう。

これは多くの日本人がもっている迎合主義的性向のためか、また今後もこの傾向が学会内で続くのかと、真理を追究すべき使命がある学問分野のことだけに、心配になります。




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「地質学の巨人 都城秋穂」から知る日本の闇と一流の仕事

世界的に有名な地質学者の都城秋穂(みやしろあきほ)・米ニューヨーク州立大名誉教授が、2008年7月22日、米国ニューヨーク州オルバニー市郊外のサッチャー公園内の小道を散歩中に足を滑らせて崖から転落し、87年の生涯を終えました。彼のパソコンの中に、膨大な文章が残されていて、「地質学の巨人 都城秋穂の生涯」(東信堂)として刊行され始めましたが、第2巻で止まっています。

私は学生時代に地質学を専攻したので、都城の偉大な業績や、学者仲間に迫害されて米国に研究亡命したことを知っていました。若いころに彼は、同一組成(Al2SiO5)でありながら温度圧力条件によって3種類の鉱物が出現することを論理的に推測し、20年後に高温高圧実験で証明されました。この研究手法は、世界の研究者に影響を与えました。
化学熱力学を駆使した彼の名著と言われる「変成岩と変成帯」も持っていましたが、私の能力では十分に理解できませんでした。

以下に、「地質学の巨人 都城秋穂」に関連する3つの話題を紹介します。

1 第1巻 都城の歩んだ道:自伝

都城の顔と本

私は、「第1巻 都城の歩んだ道:自伝」を読み、戦前の帝大での閉鎖的、抑圧的な学者の世界と都城の学者としての苦難の歩みを知り衝撃を受けました。学者の世界では珍しく、ここまで書いていいのかと思うような、内情暴露的な具体的な記述が多くあって、迫力のある内容でした。しかし、彼の真実が書かれていることが、私に圧倒的な力で迫ってきたと言うべきでしょう。
今でも高名な学者の偏狭な性格や行動も書かれていて、週刊誌を読むように読みふけりました。都城の恩師である坪井誠太郎教授が、図書室にあった海外の書籍を独占して、助手の都城に貸さなかったなどのいじめに近いエピソードは、今でも覚えています。

今では内容の詳細を忘れましたが、読んだ当時、この孤高の天才学者から学ぶべきことは無数にあると思った本でした。


2 日本でのプレートテクトニクスの拒絶

最近、泊 次郎 (著)「プレートテクトニクスの拒絶と受容―戦後日本の地球科学史」(東京大学出版会)を読みました。今では常識となった地球物理学の考え方であるプレートテクトニクスが、日本では10年以上遅れて受容された原因を探ると、当時の地質学分野を牛耳っていた地学団体研究会すなわち“地団研”による共産主義イデオロギー「歴史法則主義」に、学問が支配されていたためであるということでした。
地質学を、事実を素直に見て考察しないで、観念的イデオロギーで解釈するエセ科学にしたのです。“地団研”の影響は、少なくとも1985年まで日本の地質学会には残っていたという指摘には驚くばかりです。

プレートニクス理論の実証と啓蒙に貢献した「地質学の巨人 都城秋穂」は、“地団研”の学者たちに排斥されて、米国に研究亡命したと言われています。


3 都城秋穂の弟子であった上司のこと


最後に、私の会社員時代に、東大で都城秋穂の指導を受けた上司が居ました。その人は「仕事の巨人」と言うべき、仰ぎ見る上司でした。前人未到の業績を次から次へと出す人でした。

その上司から学んだことは多いが、最も重要であると思うのは、「仕事の進め方」でした。よく調べ、よく考え、相手にわかるように表現することを重視されました。「仕事の進め方」で鍵となるのは、合理的で説得力のある「仕事のストーリーづくり」でした。それにより無駄のない作業と経費で成果を出すことに繋がるために、事前の検討に時間をかけることを何よりも大切にされていました。そして、それを仕組みとして残すように、研究計画書の書き方を何度も改訂され、機会あるたびに一人ひとりに具体的な事例で指導されていました。これらの体験から、時間をかけて議論したり、文章にして何度も見直さないと、真の意味で深く考えたことにならないことを学ぶことができました。

私の会社員生活を振り返ると、作業内容の指示をする上司は多かったが、普遍性のある合理的な仕事の仕方を、しかも原則までも教えてくださった上司はこの人ひとりでした。このような素晴らしい上司とめぐり会えた幸運を深く感謝しています。

この上司が上記のような仕事の仕方の原則を、どのようにして身につけられたかを知りたくて、打ち解けた雰囲気のときに、ご本人に尋ねたことがあります。そして驚いたのは、大学生時代に根幹となることに気付いて、自分のものにされたことでした。

上司は、「大学時代に膨大な実験をしてデータをたくさん持っていたが、発表するときにストーリーを語れなかった苦い経験があり、反省した」と言われました。恐らく、卒業論文か修士論文の時のことでしょう。当時の東大での指導教官は、少壮の都城秋穂博士でした。著書や発言から、都城博士は仮説づくりや研究ストーリーづくりを重視されていたことがうかがえます。私の上司はその恩師の影響を強く受けられたはずです。
この学生時代の反省が、会社に入ってからの上司の仕事に活かされていたのです。

一流の仕事の仕方の原則は、分野を問わず、同じであることを二人の巨人から学ぶことができました。

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「社会心理学講義」が教える集団と個人を支配する深層ルール

ナンバーワンのビジネス書

ライフネット生命創業者・出口治明氏が、昨年6月に、上記のように昨年の“ナンバー1”ビジネス書はこれだと書いていたので、読んでみました。小坂井敏晶・パリ第八大学准教授による『社会心理学講義』です。

ウィキペディアによると、現在において社会心理学とは「社会における個人の心理学」と見なされている、そうです。私は初めて知りました。

この本は、社会と人間との関わりの心理学的な論考、あるいは哲学的考察と思われ、深く掘り下げられた内容の文章に啓発されました。固い内容でありながら、緊張感をもって、最後まで読み進められました。

今回もこの本から、私がスゴイとうなった(掘り下げが深い)と思った文章の一部を引用します。固い内容で少し長いですが、ご容赦を。

「ハイエク が 説い た よう に 社会 は 人間 から 遊離 し て 自律 運動 する から です。 社会制度 を 正当 化 する ため に 我々 が 持ち出す 根拠 と、 制度 が 機能 する 本当 の 理由 は 違い ます。 制度 の 真 の 姿 が 人間 に 隠蔽 さ れる おかげ で、 社会 が 維持 さ れる。 こう 議論 し て き まし た。 個人 心理 も 同様 です。 様々 な メカニズム を通して 虚構 が 生み出さ れ、 それ が 我々 の 主体性 や 同一性 の 感覚 を 可能 に する。 合理性 とは 別 の、 心 の 論理 と 社会 の 論理 に したがっ て 人間 は 生き て いる。 社会心理学 の 役割 が おぼろ げ ながら 見え て き た でしょ う か。  
開か れ た 社会 という スローガン には 誰 でも 賛成 し ます。 しかし、 その 意味 を 我々 は 本当に わかっ て いる でしょ う か。 開か れ た 系 として 社会 を 理解 する とは 同時に、 普遍的 価値 の 定立 が 不可能 だ と 認める こと です。 殺人 や 強姦 の 禁止 なども 含め て、 すべて が 相対 化 さ れる。 たった 一つ でも 普遍的 価値 が 存在 すれ ば、 それ は 閉ざさ れ た 社会 です。
社会 に 生まれる 逸脱 の 正否 を、 社会 に 内在 する 論理 では 決定 でき ない。 社会 を破壊 する 異質 な 論理 が 社会 の 真っ直中 から 生まれ て くる。 外部 から 異文化 が もたらさ れ なく とも、 社会 が 自ら 異質 性 を 産出 する。 他者 は 我々 自身 の 中 に 潜ん で いる。 時間 が 存在 し、 歴史 が 可能 なのも、 世界 が 閉じ て い ない から です。 真理・偶然・一回 性・超越・意味・集団 性、 結局 は 同じ こと を 指す。 開か れ た 社会 という パラダイム の 射程 が 伝わっ た でしょ う か。」

私なりに要約すると、開かれた社会では、人の心にも社会にも、合理的でない虚構(一人合点、思い込み、妄想など)の論理が支配し、意外にもそれにより主体性や同一性が自覚できる。また、人も社会も、外から異質な刺激が来なくても、それ自身の中から新しい異質な芽が出てくる、ということか。
 

「確信 における 他者 の 役割 を ハンナ・アーレント は 強調 し ます。 判断 の 力 は、 想像 の 中 で 他者 と 取り持つ 同意 に 支え られる。 そこ で 生ずる 思考 の プロセス は、 理性的 推論 の 場合 の よう な、 私 と 私 自身 との 対話 では ない。 私 が たった 独り で 決断 し なけれ ば なら ない 場合 でも、 それ は 常に、 そして 先ず 何 よりも、 後ほど 同意 し なけれ ば なら ない 他者 との コミュニケーション で ある。 この 想像 上 の 同意 なし に、 判断 の 正し さは 得 られ ない。

私なりに要約すると、人は頭の中で他者の同意を得ることにより、判断の正しさの確信がえられるので、自分一人で決めた決断であるとうぬぼれてはいけない、ということか。


「母親 が 悟り を 開い た のは、 生き と し 生ける もの には 必ず 死 が 訪れる という 事実を 知っ た からでは ない。 そんな こと は 初め から 彼女 にも わかっ て い ます。 事実 から 確信 への 論理 飛躍 が そこ に ある。 子供 の 死 に際して、 子供 を 復活 さ せよ う と する 努力 そのもの が、 母親 の 苦しみ の 原因 でし た。 つまり 求め て いる「 解決」 こそ が、 まさに 彼女 の 問題 だっ た。 その「 解決」 を 放棄 し た 時、 同時に 彼女 は 問題 から 解放 さ れ、 救わ れ ます。 メタ レベル に 視野 を 広げ て 初めて 問題 の 根 が 見える。 しかし その ため には、 今 閉じ込め られ て いる 論理 の 外 に 出る 必要 が あり ます。 仏陀 の 出し た 条件 を 満たそ う と 自分自身 で 何度 も 試み て 失敗 し なけれ ば、 諦念 に 辿り 着け なかっ た。 しかし、 それ だけでは 悟り に 至ら ない。   行為 や 判断 の 理由 説明 は、 所属 社会 に 流布 する 世界観 の 投影 を 意味 する と 第 3 講 で 述べ まし た。 我々 は 個人 で 判断 する のでは ない。 集団 的 に 生み出さ れる 枠組み や カテゴリー を通して 世界 の 出来事 を 理解 し ます。 死ん だ 子供 を 諦め た のは、村人 との コミュニケーション を通して 集団 的 価値 を 母親 が 受け 容れ られ た から です。

私なりに要約すると、苦しみは社会の価値観を受け容れる広い心があると解消する。拡大解釈すると、人の適正な判断は個人でできないため、他人の意見を聴かない人は、偏った視点を変えられず、社会から変わり者として受け容れられないばかりか、自分の苦しみからも抜け出せない、ということになるか。


「米国 人 の 大半 は 豚 や 牛 などの 臓物 を 食べる 習慣 が ない。 どう し たら 食生活 を 変更 し て、 これら 食材 を 捨て ず に 利用 できる でしょ う か。 レヴィン は 二 種類 の 影響 方法 を 比較 し まし た。 第一 の 条件 では、 牛 の 心臓・胃・腎臓 に 含ま れる ビタミン や 無機質 などの 大切 さを 強調 する とともに、 内臓 の 触感・見た目・臭い の 違和感 を 緩和 する ため の 調理 方法 を 指導 し まし た。 第二 の 条件 では、 この 説明 に 加え て、 臓物 の 食品 利用 をめぐって 参加 者 全員 で 討議 し て もらっ た。 そして 討議 の 最後 に、 臓物料理 を 家庭 で 試す か どう か について 挙手 による 態度 表明 を 行わ せ まし た。   栄養素 と 調理 に関する 説明 を 専門家 から 受け た だけの グループ( 第一 条件) では、臓物料理 を 家庭 で 食べ た 人 の 割合 は 三 パーセント に すぎ ませ ん でし た。 対し て、 集団 討議 を 行っ た グループ( 第二 条件) では 三 二 パーセント に 上り まし た。   この 違い を レヴィン は 主 に 二つ の 原因 に 帰し ます。 挙手 による 態度 表明 を 他 の メンバー に対して 行っ た グループ では 問題 をより 真剣 に 考える だけで なく、 誓約 し た よう な 心理 状態 が 生まれる。 また、 討議 を 経る こと で、 何人 かの 参加 者 が それぞれ 個別 に 意見 を 変える のでは なく、 集団 自体 の 規範 が 変化 する。 この 点 は 重要 です。 テレビ・ラジオ・新聞 雑誌 など マスメディア による 影響力 は 各人 に対して 個別 的 に 行使 さ れる ため、 影響 を 受け て 態度 や 行動 が 変化 し ても、 すぐ に 周囲 の 影響力 によって 元 の 状態 に 引き戻さ れ て しまう。 したがって 個人 を ターゲット に する のでは なく、 集団 全体 の 社会 規範 を 変化 さ せ ない と 影響力 は 長続き し ない。 各人 を 別々 に 考える のでは なく、 集団 に 属す 人々 の 相互 関係 を 考慮 する 必要 が ありあり ます。」

私なりに要約すると、討議を経ると、集団の考えがまとまり、その影響が長続きする。議論を避ける集団は守るべき方針が定まらず、成果が出ないで衰退することにもなりうる、ということになるか。


社会や集団の中でこそ、人は出来事を理解でき、判断でき、個人的な悩みを解消できる。また、集団の討議により規範を変えると、その影響が持続するという、個人と人間の集団の判断や行動には多くの隠されたメカニズムがあることを、この本から学びました。特に組織に属する人には有益な情報が得られる本であると思いました。

その他の分野についても、引用したい文章がありますが、あまりにも長すぎるので、今回はこれでやめます。


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仕事の仕方の基本的心得を学べる本

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本の置き場に困るようになったため、Kindleで本を読むことが多くなりました。さらに最近、Amazonプライム会員(年会費3,900円)になったら、好きな音楽を聴き放題で、毎月1冊無料で好きな電子書籍を読むことができたり、対象の本を10冊まで追加料金なしで読み放題になるので、Kindleの利用率がグンと上がりました。なお、プライム会員になると、Kindleが4,000円引きで買えます(私は買ってから知って残念だった)。


最近Kindleで読んだ本で、印象に残った本を紹介します。その一つが、
山口 周著”外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る「99の心得」” (光文社新書) Kindle 版です。

いわゆるビジネス本ですが、よくあるノウハウ技術集ではなく、人間心理を押さえて仕事の仕方の基本的心得を分かりやすく説いています。良質で効率の良い成果の出し方に関心がある人に役立つと思います。この本から、私がなるほどと”うなった”6つの文を以下に引用します。

1.説得より納得で、しかしベストは共感!

行動を変えるにはコミットメントが必要ですが、コミットメントを得るには「説得」ではなく、「納得」が必要になります。さらにそれが「共感」にまでなれば、コミットメントは内発的なエネルギーにもとづくものになり、外側から薪をくべ続けなくても心の炎は燃焼し続けることになります。これは本質的には 意思決定のクオリティに関わる問題といえます。

人は、いくら合理的な理屈で説得されても、本当に共感しなければエネルギーを全開にできませ ん。これは意識的なコミットメントレベルというよりも生理的な反応の問題であって、要するに人間 という生物はそういうふうにできているということです。人のエネルギーを高レベルに引き出して方向付けるというのはリーダーの核となる役割ですが、そのためにも「説得ではなく納得を、納得ではなく共感を」目指すことが求められます。

何度も繰り返していますが、知的生産の最終的な目的は、行動を起こさせ、よりよい社会や世界の建設に人々を駆動させることにあります。したがって、知的生産に従事する立場にある人間は、すべからく「説得より納得を、納得よりも共感を」追い求めていく態度を失わないようにしてほしいと思います。


2.指示は問いで出せ!

質問には回答せず、逆に質問で返すことでより良質なインプットが得られることがあります。質問をもらった場合、それが本当に「わからない言葉の意味を確認する」といった純粋な質問でない限り、ほぼ間違いなくそれは質問という名 を借りた反論なのだと考えて、その反論をくみとれるような質問を逆にこちら 側から返すように心がけてください。

情報収集に当たってのポイントはズバリ「指示は、『行動』で出すのではなく、『問い』で出す」ということです。
「問い」で指示を出された方が、はるかに何をやればいいのかが明確にイメージ できるのです。

「○○に関連する資料を、金曜日までになるべく沢山集めておいて」などという指示を出してはいけません。そうではなく「○○に関して、この四つの問いについて答えが出せるような資料を集めておいて」と指示しなくてはならないのです。


以上の引用文を読んだだけで、私は現役の時に心得としておきたかったことが書いてあると思いました。単なるノウハウ技術の伝授本ではありません。ご興味があればご覧ください。


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健康本「若いと言われる人があたりまえにやっている16の老けない習慣」のサプリメント情報

16の老けない習慣

健康オタクの私がお薦めする、一般向けの健康本です。著者はアンチエイジング専門クリニックの医師です。

最新のアンチエイジングの成果を取り入れて、エッセンスを16にまとめて、分かりやすく解説しています。各項目の文章は短く、重要なところは赤い字になっています。

習慣化しやすい無理のない具体策を示している点に、好感がもてます。

この本を一通り読むと、健康上の悩みを持っている人には、何か参考になる情報が得られると思います。


私が特に関心を持ったのは、サプリメントに関する情報です。各項目の重要と思われる内容を、簡略化して以下に転記します。もっと詳しい情報や、メカニズムを知りたい方は、本書を読んで下さい。

① 慢性的な体の不調の対策:食生活の見直し、サプリメントで体調改善、専門医の治療のステップを踏むと、根本解決につながる。サプリメントの効果は最低でも2週間飲んで見極める。

② ベースとなるサプリは「マルチビタミン&ミネラル」:体調のベースづくりと底上げになる。

③ 細胞エネルギーのカギ「鉄分」:だるさ、低体温や冷え性、偏頭痛、肌のシミ・シワ・たるみ、髪のぱさつき、爪の割れ、風邪の引きやすさの改善に有効。動物性食品に含まれる「ヘム鉄」は植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」より吸収が数倍高いので、食材ではレバーが効率的な鉄摂取源。

④ ホルモンと同等に活躍する「ビタミンD」:骨の強化、免疫力の向上(アレルギーやウィルス感染予防)、うつ病の予防、筋力低下の予防などの抗老化栄養素。大腸がんや乳がんリスクを下げる。

⑤ エネルギー代謝に必須「ビタミンB群」:ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビオチンの8種類が「ビタミンB群」。糖質、脂質、タンパク質という3大栄養素を、エネルギーに変えるときに欠かせない成分で、最近の研究では不足すると脳細胞の萎縮が進むことが判明。甘いものが好きな人、頭脳労働者、疲労感が強い人には不足がち。元気度アップ、肌荒れや口内炎の改善、脳の健康維持に有効。

⑥ 風を引きやすいときには「亜鉛」:亜鉛は全身のさまざまな機能に関与し、不足すると免疫力・抗酸化力・有害金属の排出力が低下。亜鉛は風邪などの感染症の予防に有効、酒飲みには不足しがち。

⑦ 解毒&抗酸化パワーで老化予防の「セレニウム」:有害金属の排泄促進、抗酸化力と免疫力の向上に有効。

⑧ 筋肉がつるときは「マグネシウム」:マグネシウムはストレスにより失われやすく、収縮した筋肉をゆるめる働きをもつ。不足すると、慢性疲労、筋肉けいれん、高血圧、狭心症を引き起こしやすい。

⑨ 働きすぎの人ほど消耗する「ビタミンC」:抗酸化物質で、疲労回復、炎症予防、がん予防に関与。ビタミンCは副腎と目に多く含まれ、働きすぎると消耗する。疲労を感じたときは、寝る前に多めに飲むと翌朝すっきり。

⑩ 腸内環境の改善に「プロバイオティクス」:プロバイオティクスは乳酸菌に代表される行きた微生物。ヨーグルト、漬物、みそなどの発酵食品を、善玉菌のえさとなるオリゴ糖と善玉菌のすみかとなる食物繊維とともにとる。


他の本にはない、この本の最重要情報は、最後の項の「サプリの飲み方、私の場合」にあります。
著者が飲んでいる、以下の7種類のサプリメントを公開しています。これは極めて稀なことです。「自分が飲んで効果を実感したものしか患者さんにはおすすめしない」という誠実な姿勢がここでもみられます。

① 「マルチビタミン・ミネラル」ビタミン11種類、ミネラル7種類。
② 「ルンブルキナーゼ」ミミズの体内の血栓溶解酵素、ビタミンB6、12、葉酸配合。
③ 「アポラクトフェリン」腸内環境を整える。
④ 「ビタミンC」抗酸化サプリ。
⑤ 「ビタミンD」免疫、動脈硬化予防、骨の健康、うつ予防、認知機能向上に。
⑥ 「消化酵素」(商品名酵母プラス)消化・吸収・腸内環境を整える。
⑦ 「魚油(DHA、EPA)」血管・脳のアンチエイジング。

できれば、すべてに商品名を付けていただきたかったです。なお、商品名「酵母プラス」は「プラス酵母」が正しいかもしれません。

私は、今飲んでいるサプリに、鉄と亜鉛とマグネシウムを追加して、様子をみることしました。




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